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【慈悲の心を大切にするスペイン人】武士道、サムライ、禅……“道”に生きる男の“生きがい”とは?
書写山のロープウェイ乗り場で見つけたスペイン人の2人組。Aitol(アイトル)の格闘家ばりのマッチョ姿に、ひるんでしまう気持ちを抑えて話しかけてみると…慈悲の心と思いやりにあふれた精神の持ち主でした。心の拠り所とは何か?生きがいとは?1時間にも満たない、一期一会の短い出会いの中で、彼が教えてくれたのは、人生の意味でした。
Q.なぜ書写山圓教寺に?
日本各地を旅していて、いろんな寺社を巡っているんだけど、僕にとって「書写山圓教寺」は特別なんだ。というのも、映画の「ラストサムライ」を見て、その映画のロケ地として使用されているこの場所に、どうしても来たかった。
ほら、見て、僕の腕のタトゥーにもサムライが描かれているでしょ。武士道の精神に深く感銘を受けて、“サムライ・スピリッツ”を刻んでいるんだ。
日本に来るまでに、いろんな思いがあったから、実際の書写山圓教寺を目の前にした時は、本当に感動したよ。静寂が漂っていて神聖な空気に包まれているね。祈りを捧げるとともに、参道の途中にある「慈悲の鐘」を鳴らし、摩尼殿ではお線香を添えさせてもらったよ。
Q.日本への興味は、宗教に影響を受けているとか?
僕は、10代の頃から仏教やタオイズム(道教)に興味を持ち始め、合気道なども習っているんだ。宗教の教えを通して、僕が学んだのは、物質的な欲望や社会的な価値観に囚われず、内面の静寂と真実を追求すること。現実の苦しみや困難に直面したときにも、心の平静さを取り戻し、自分自身の中にあるべき姿を見つめなおすこと、それが大切なんだよ。
人生の意味は、外に求めるのではなく、自分の中に見つけ出すもの。僕にとって、こういった教えは、心の拠り所であって、まさに“生きがい”なんだよ。
Q.最後に一言どうぞ
仏教やタオイズムに影響を受けたアジアの国はいっぱいあるけど、僕にとって日本は格別。日本各地の寺社を巡るたび、その思いは強くなっていくね。姫路に来る前の京都では、小さな寺で座禅をしたのだけれど、とても神聖な体験だった。心を整えるのに素晴らしい時間だったね。
ちなみに、彼女は、僕と違ってこういった世界に興味がなかったんだけれど、この旅を通して僕から学んでいるよ(笑)
編集者のひとこと
彼の口から日本語で“Ikigai(生きがい)”と発せられたときは、びっくりしました。日本人でも説明するのに難しい言葉や精神世界を、スペイン人の彼らから教えられるとは。海外の人たちが、日本の文化や歴史に興味を持って感銘を受けている様は、私たち日本人がどれだけ豊かな環境で暮らしているかということを再認識させられます。隣の芝生ばかり見ていては、窮屈になってしまう人生。今一度、生きる意味というものを自分自身に問いかけてみようと思わせられる出会いでした。